KYNE Kaikai Kiki

 

日本画、グラフィティ、80 年代の大衆文化、そして現代のミックスカルチャー。

僕の絵を伝える上で、一見何の関連性もないこれらの要素はどれ一つとして取り除くことはできません。
大学時代に日本画を学び、偉大な作家たちの絵を勉強しながら岩絵具を使って作品制作をしていました。そこには脈々と受け継がれてきた様式と作法があり、歴史がありました。
そして同時期にグラフィティという70年代にアメリカで生まれたストリートでの表現に出会い、僕もマーカーでのタギングをしてみたり、プリントした作品を街の壁にペーストしたりしていました。日本画のじっくりと時間を掛けて作品制作をする様式とは対照的に、グラフィティは時間が掛けられない中で作品を街に残していくものであり、僕にとってはその相反するどちらのもが非常に面白い作品制作のプロセスであるように感じました。

そしてまた、アートとは関連のないところで僕は80年代のアイドルや音楽、カルチャーに強い影響を受け少年時代を過ごします。
可愛らしさの象徴として目にする女性たち、当時の技術やセンスで作られたポップソングやデザイン的流行から生み出されるレコードジャケット。
また漫画という平面的な世界で繰り広げられるユートピア的物語たち。
それらが渾然一体となって「その時代にしかないムード」が生まれ、そしてそのムードは鮮明に記憶の中に残っています。
更にその「ムード」は、今やインターネットでアクセスし画面越しに見ても掴むことのできない「空気感」を漂わせています。

僕が今描いている女性のポートレイトは、日本画やグラフィティから吸収したエッセンスをもって描く80年代アイドル的女性像ではなく、女性の姿を借りた「自分自身が通過してきた様々な文化とその時代のム ード」なのです。
そのインスピレーションソースは文化的リバイバルでありながらも、それをアートとして表現することにそのソースとは少し違った価値観を持たせる可能性があると考えています。

そして僕は自身のことを、インターネットやストリートカルチャーが一般的に広まったことで生まれた、ピュアなオタクでもピュアなストリートでもないミックスカルチャーの中にいる中間的な存在の1つなのだと思っています。

そう考えた時、アニメなどの日本の大衆文化を早くからアートに取り入れ、様々な文化の境い目を研究してきた村上さんとの出会いは必然のようにも思えると同時に、僕がKaikai Kikiで個展を開かせてもうらうこと自体が村上さんの1つの表現になっているのではないかと感じます。
そして僕はそれをまっすぐに受け止め、ただ純粋に作品を発表し、皆さんに楽しんでもらえればと思っています。

KYNE


 2021年4月9日(金)- 2021年4月28日(水)

開廊時間:11:00〜19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日

※入場人数が一定数を超えた場合、入場を制限する
場合がございますのでご了承ください。

 

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