『メディウム・オブ・コンティンジェンシー』刊行記念イベント
「美術手帖」芸術評論コラボレーション企画
『メディウム・オブ・コンティンジェンシー』は、
「偏りすぎた現代美術講座」の第2回目で講師をつとめた村上隆が紹介した
論文集『The Medium of Contingency』の日本語版です。
「コンティンジェンシー=偶然性」とは、単なる運やめぐり合わせではなく、
事前に全く予測されることがなかった出来事の発生を指します。
制作の現場からアート・マーケットにおける作品価格の決定まで、
あらゆる場面に想定外の出来事はつきまとっていますが、
この本は、「コンティンジェンシー」という概念としてフレーム・アップし、
C・グリーンバーグ以来のメディウム論の流れに位置づけようとしています。
この本のもととなっているのは、
2011年にロンドンのトーマス・ デーン・ギャラリーが
ニューヨークのギャラリストであるミゲル・アブローと組んで開催した
『New York to London and Back – The Medium of Contingency』という展覧会です。
この際に、行われてディスカッション・イベントを記録したのがこの本で、
アーチスト、ギャラリスト、キュレーター、哲学者など
6名の参加者がコンティンジェンシーとアートの関係について語っています。
「コンティンジェンシー」は経済や経営の世界でのセオリーに援用されたキーワードで、
哲学や科学、思想の分野とともに、アートにも波及し、
こうして抽象画を中心とする新しいトレンドを作り出しています。
そこで、NYを中心とする現代美術の現場で起きている新しい動向を、
日本のアーチストをめざす若者やアートを学ぶ学生に伝えようと、
カイカイキキでは、その流れを牽引したとされるこの本の邦訳を出版することにしました。
「偏りすぎた現代美術講座」第4回は、
この『メディウム・オブ・コンティンジェンシー』の出版を記念し、
新しい思考を伝えるにはフレッシュな語り手を、と考えて、
「美術手帖」にもコラボレーションをお願いして、
芸術評論賞を受賞した気鋭の若手美術評論家によるトークイベントを企画しました。
お招きするのは、ともに芸術評論賞のグランプリ受賞者である沢山遼さんとgnckさん。
沢山遼さんは、抽象表現主義やミニマリズムにおけるメディウムの問題について
数多くの論文を残されている一方で、最近では、戦争というコンティンジェントな出来事を
主題とする戦争画に関しても、積極的に論じられています。
また、gnckさんは、デジタル画像の美的な特質が演算処理に由来することを明らかにしつつ、
新しいメディウムとしてその可能性を追求すると同時に、
グリッチなどのデジタル画像におけるエラー=コンティンジェンシーにも着目されています。
当日は、「コンティンジェンシー」をテーマにしたgnckさんと、
「メディウム」をテーマにした沢山遼さんの基調講演に続き、
お二人のディスカッションが予定されています。
お二人の視点から、アクチュアルで刺激的な対話の場が繰り広げられることでしょう。
開催概要
日時:2014年10月18日(土) 17:00〜18:30
会場:Zingaro Space(中野ブロードウェイ2F)
講師:沢山遼(美術評論家)、gnck(美術評論家)
参加費:¥3,500
『メディウム・オブ・コンティンジェンシー』(予価2,600円)&ワンドリンク付き
いくつかのイベントにて「29歳以下」と参加条件をお伝えしましたが、
今回は、年齢を問わず興味のある方にご参加いただきたいと考えまして、
「年齢制限なし」とさせていただきます。