また、どこかで:村上隆の「偏りすぎた現代美術講座」終了

村上隆の「偏りすぎた現代美術講座」>は、昨日、無事執り行われました。
全社あげての準備の1週間でしたが、おかげさまで大変充実した講義ができたと思います。
来ていただいた方々が、何かを掴むきっかけになってくだされば、と切に願います。


GEISAIは今年で12年目。20回を数えていますが、それを遡ること2年、つまり14年前。
WEBサイトのBBSという機能上で「芸術道場」という、美術評論のフリーゼミを開催していました。
日本の美術批評の脆弱さを補完しようと、審査員に椹木野衣さん、東浩紀さん、Dr.GD(師範代)=楠見清さん、笠原恵実子さん、そして僕らが審査員となって、若手の書き手を育てようというものでした。
http://61.196.224.12/~kaikai/dojo/index06.html
そこでの言い合いが盛り上がってきた時に「理論ばかりではなく実際の作品展示、批評の場も欲しい」という機運が高まって、出来たイベントが、 GEISAIの前身、「芸術道場GP」というもので、1回だけ、東京都現代美術館MOTで行いました。
http://www.geisai.net/g17/history/gp/index.php
その後、本当に貧乏だったのにGEISAIを立ち上げ、
http://www.geisai.net/g17/history/g1/
2回めの開催時に一発目のドデカイ赤字が出来た時には急性胃炎になって、卒倒しそうになったのを、今もよく覚えています。
http://www.geisai.net/g17/history/g2/
最も予算を使ったのはGEISAI#11
http://www.geisai.net/g17/history/g11/
外国からの審査員で固め、とにかく西欧の世界に羽ばたいてくれ、という思い出いっぱいでした。しかし、その GEISAI#11開催の翌日、リーマンショックが世界を襲い、拡大路線だった思考も一気にシュリンクカイカイキキGEISAI#11への支 払いで潰れそうになったりもしました。
http://www.geisai.net/g17/history/g13/
それでも、こういう時にギブアップしたらダメだろう、、、と、僕の埼玉三芳町にある製作工房を開放して、コストを極限まで落としての開催もしまし た。いろいろ思い出して来ちゃった、、、、。。。
震災の2日後にGEISAIが予定されていて、中止を決定し、出店者の皆さんにお金を返したり、業者様がたに半金を支払い、泣き面に蜂的な状況も ありました。
あれこれあって12年。GEISAIに使って出た赤字は16億円を超えています。私財を投じて活動してきました。でも、そういう形でしか、僕は日本のアートシーンと付き合えなかった。自分で責任をもって、インキュベーション(育成)する。そういう中で、GEISAIの存続の意味、意義を考え続けてきています。
で、昨日の「偏りすぎた現代美術講座」。
BBS上の「芸術道場」的、GEISAIの原点に返って、『私塾』的な襟を正しての秘伝伝授の会。
僕個人の実体験と知識の羅列をお話したわけです。
wade guyton という1人の作家の個展のカタログをテキストにして、その作品世界、関連する作家作品との並置比較と文脈の提供で、経験も知識も少ない若者にも随分理解してもらえたと思います。
http://en.wikipedia.org/wiki/Wade_Guyton
こうした西欧式現代美術伝授の会は同様の形式でGEISAI#20の開催まで行ってゆくか、GEISAI#20の会場内で、特別有料コーナーを設 けて、トークショウとかやってみようかとか、いろいろ考えたりしています。まだまとまっていませんが、また、報告いたします。


そして、、、ぜひ、作家志望の方はGEISAIに参加してください。
http://bit.ly/1lhkA8x



では、<村上隆の「偏りすぎた現代美術講座」>に参加してくださった方々、お疲れ様でした。
また、どこかでお会いいたしましょう。


ちあまん:村上隆


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